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2024.08.21

建設業の「働き方改革」現状は?労働時間管理のポイントも解説

建設業の「働き方改革」現状は?労働時間管理のポイントも解説

2024年4月より、建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、働き方改革の加速が期待されています。

これまで建設業界では、天候や自然条件に左右される仕事の性質や慢性的な人手不足などにより、働き方改革が進みにくい状況が続いてきました。

今回は、建設業における働き方改革が進みにくかった背景をふまえ、勤怠管理の課題、適正な労働時間管理の方法について解説します。

建設業における働き方改革の背景

建設業における働き方改革は、時間外労働の常態化や慢性的な人手不足を理由に進んできませんでした。しかし、「時間外労働」や「割増賃金」の法改正が行われたことから、早急に改革に着手する必要性に迫られています。

建設業の現状

建設業界は、長時間労働と人材不足の二重の課題に直面しています。

国土交通省の「令和3年建設業の働き方改革の現状と課題」によると、年間の総実労働時間は、全産業と比較して360時間以上長いのが現状です。

さらに、建設業の就業者は、1997年685万人をピークに2020年492万人にまで減少しており、55歳以上が36%、29歳以下が約12%です。高齢化が進み、次世代への技術継承が大きな課題となっています。

深刻化する状況に対し、時間外労働の上限規制や割増賃金率の引き上げなど法改正が行われ、抜本的な働き方改革が急がれています。

時間外労働の上限規制

時間外労働の上限規制は、働き方改革関連法による改正後の労働基準法により法定化され、2019年4月に大企業に向けて施行されました。建設業は5年間の猶予期間が設けられていましたが、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されています。

労働基準法によって「労働時間は原則1日8時間・週40時間以内」「休日は最低でも週1回」と定められています。これを超えて労働した時間を「時間外労働」といい、雇用主が労働者に時間外労働を行わせるためには、労使協定(36協定)の締結と届け出が必要です。

36協定を締結した場合は月45時間・年間360時間までの法定時間外労働が可能です。これに違反すると、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰則が課されます。

つまり、時間外労働に上限が適用されたことで、災害等臨時的な特別な事情がなければ、長時間労働はできなくなったのです。

また、長時間労働を改善するため、国をあげて週休2日制が推進されています。建設業で週休2日を実現するためには、適正な工期設定や経費の補正といった取り組みが必須です。

割増賃金率の引き上げ

2023年4月から、60時間を超える法定時間外労働の割増賃金率が25%から50%へ引き上げられています。深夜割増賃金とは別に発生するもので、割増賃金は人件費に関わるため、法定時間内に業務終了できるような仕組み作りが必須です。

このような背景のもと、建設業界では働き方改革を進めるうえで、特有の勤怠管理の課題に直面しています。

建設業における勤怠管理の課題

建設業界では、働き方改革を進めるうえで、独特の勤怠管理の課題に直面しています。これらの課題に対処し、労働環境を見直す必要性が高まっています。

建設業特有の勤怠管理の課題には、以下の5つがあります。

  1. 1.分散した現場管理
  2. 2.天候による影響
  3. 3.アナログな管理方法
  4. 4.高齢化とデジタル機器操
  5. 5.移動時間の管理

具体的に見ていくと、建設現場の特性として、まず、建設現場の場所や規模が多様で分散しているため、一元的な勤怠管理が困難です。加えて、屋外作業が主体であるため、天候による急な予定変更や作業中断が頻繁に起こり、正確な労働時間の把握が難しくなることがあります。さらに、紙ベースや口頭での報告など、従来のアナログな管理方法が依然として使われており、これが正確性や効率性に欠けることもあります。また、技能労働者の高齢化が進行しており、デジタル機器の操作に不慣れな場合が多いため、新しい勤怠管理システムの導入が困難になる可能性があります。最後に、現場への移動時間を含めた労働時間の管理が曖昧になりがちであり、適切な管理が求められる状況です。

このような課題を抱えたままでは、時間外労働の上限規制を守るのは難しいといえるでしょう。これらの課題に対処するためには、ICTを活用した勤怠管理システムの導入や、労働基準法の遵守に向けた意識改革、効率的な作業計画の立案など、総合的な労働環境の改善が必要です。

また、現場の実情に即した柔軟な対応も求められます。時間外労働を抑制し、休日を確保できるようにしたうえで、時間に見合った給与待遇の仕組みづくりが必須です。

適正な労働時間管理がマスト

2019年4月から労働安全衛生法が改正され、「労働時間の客観的把握」の義務化が求められています。自己申告は原則認められず、労働時間の記録に関する書類の3年間の保存義務(労働基準法第109条)も課されています。

長時間労働の改善をするには、社員がどれくらい働いているのか把握する必要があります。

勤怠管理システムを導入することで、社員の労働状況がデータ分析でき、改善できるポイントにも気づきやすくなるでしょう。

勤怠管理システムの機能には、以下のようなものがあります。

リアルタイムの勤怠記録

従業員が出退勤記録をスマートフォンやタブレットで簡単に記録でき、管理者はリアルタイムで労働時間を把握できます。

位置情報の活用

GPSにより、現場到着時や移動中の労働時間を正確に記録します。直行直帰の多い建設業での労働時間管理が容易になります。

自動集計と分析

システムが労働時間を自動集計し、部署別や個人別の労働時間傾向を視覚化します。長時間労働の傾向がある部署や個人を特定し、迅速な対応ができます。

アラート機能

法定労働時間に近づいた従業員や、休憩取得漏れの可能性がある場合に、管理者にアラートを送信します。

このように、勤怠管理システムを導入することで、データに基づいた効率的な業務改善が可能になり、特定の現場や作業で残業傾向が見られれば、人員配置の見直しや作業手順の改善にもつなげることができます。

無駄な残業の削減や休憩時間の確保など具体的な取り組みを実行することも可能になり、従業員の健康管理やワークライフバランスの向上にも役立つことでしょう。結果として生産性の向上も期待できます。

まとめ|労働時間管理の可視化が変革の第一歩

今回は、建設業における働き方改革について、その背景や勤怠管理の課題、適正な労働時間管理において今から始められることを取り上げました。

長時間労働の改善には、まずは「社員がどれくらい働いているのか」を可視化することが大切です。そして、労働時間の管理には、勤怠管理システムの導入が有効です。

時間外労働の規制や割増賃金率の引き上げが法律で定められたこともあり、ますます自社の労働環境を見直す必要に迫られているといえるでしょう。従業員との対話の機会を設け、働き方改革に対する意見や提案を集めてみましょう。現場の声が重要な解決のヒントになるかもしれません。

自社だけで解決できない課題については、外部サポートを活用するのがおすすめです。労務管理の専門家にコンサルティングを依頼することで、自社の課題を客観的に分析できます。

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