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2024.05.20 BCPとは?企業におけるBCP対策や必要な理由とメリット、 策定手順をわかりやすく解説!

BCPとは?企業におけるBCP対策や必要な理由とメリット、 策定手順をわかりやすく解説!

大地震などの自然災害や、新型コロナウイルス感染症のようなパンデミックなど、企業の経営に影響を与える有事は、いつなんどき起こるか予測できません。
特に中小企業が大災害に見舞われた際には、従業員はもちろん取引先や地域経済にも甚大な被害を与える恐れも考えられます。その中で、災害に左右されないスムーズな事業継続を目指すための計画が「BCP(事業継続計画)」です。
今回は、BCPの詳細から必要とされる理由、メリットや策定手順についても解説します。

そもそもBCPとは何か

 

BCP(Business Continuity Plan)とは、「事業継続計画」と訳され、自然災害やテロ、パンデミックなどの予期せぬ事態が発生した際に、企業や団体が事業を継続するための計画のことを指します。BCPの目的は、有事の際に事業への影響を最小限に抑え、できるだけ短時間で通常の事業運営に復旧させることです。

BCPは1970年代にコンピュータシステムのダウン対策として注目され始め、2001年の米国同時多発テロや2011年の東日本大震災を契機に、その重要性が広く認識されるようになりました。BCPでは、事業復旧までにかかる時間と重要業務の復旧レベルに関する目標を設定し、それを達成するための行動方針や対応手順、体制などを整備します。

近年、企業経営におけるBCPの重要性はますます高まっており、大企業や地方自治体では策定が進んでいる一方、中小企業ではまだ十分に浸透していないのが現状です。

上記現状を受け、国は中小企業強靱化法による認定制度を設け、中小企業におけるBCP策定を推進しています。 この制度は「事業継続力強化計画認定制度」と言い、認定を受けた中小企業は税制措置や金融支援、補助金の加点などの支援策が受けることができます。制度の申請方法などの詳細は、こちらをご覧ください。

 

BCPと通常の防災計画とはどう違う?

BCPと防災計画は、どちらも災害対策という点で共通していますが、その目的と範囲には違いがあります。防災計画は、自然災害などによる被害を最小限に抑えることを主な目的とし、人命の安全確保、施設や設備の損壊防止、重要データの保護などが含まれます。防災計画は主に拠点レベルで推進され、現場の復旧に関してBCPと共通する部分もあります。

一方、BCPは事業の継続と早期復旧に重点を置いています。災害による被害を最小限に抑えることも重要ですが、それ以上に、事業を止めずに継続することや、停止した場合でも可能な限り短時間で再開することを目指します。そのため、BCPには代替拠点の確保や重要業務の選定、復旧手順の整備など、事業継続に必要な幅広い対策が含まれます。

BCPと「BCM」「BCMS」との違い

BCP(事業継続計画)と関連する用語に、「BCM」(事業継続マネジメント)と「BCMS」(事業継続マネジメントシステム)があります。それぞれ解説します。

「BCM」は、BCPの策定、導入、運用、改善までを含む包括的なマネジメント活動全体を指す概念です。BCPを実効性のあるものにするには、策定するだけでなく、継続的な運用と改善が不可欠であり、BCMはそのためのPDCAサイクルを回していくことを意味します。

一方、「BCMS」は、BCMを実現するためのマネジメントシステムを指します。BCMを確実に実施し、継続的に改善していくには、体系的な仕組みづくりが重要であり、ISO 22301※に基づいて、BCMを推進・管理するための組織体制や文書管理、プロセスなどを整備したものがBCMSです。

※ISO22301:事業継続マネジメントシステム(BCMS)に関する国際規格であり、対応策の構築と運用、BCMSのパフォーマンスと有効性の監視・レビュー、継続的改善を実現するための要求事項を定めています。規格の構成など詳しくは、こちらをご覧ください。

つまり、BCPは計画の内容に重点を置いているのに対し、BCMはマネジメントの視点から計画の実効性を高めることに主眼があり、BCMSは、マネジメントを確実に実施するための具体的な仕組みを提供するものといえます。

BCP対策が必要とされる理由

企業にとってBCPはなぜ必要なのでしょうか?ここでは、災害時の事業の継続、雇用確保などについて触れながら、その必要性を解説します。

災害発生リスクが増加している

近年、地震や台風などの自然災害、新型コロナウイルス感染症のようなパンデミック、戦争やテロ、サイバー攻撃など、企業の事業継続に影響を及ぼすリスクが増加しています。特に日本は、国連大学の調査で世界171か国中17位と、先進国の中で最も自然災害のリスクが高い国とされています。企業は立地や規模、業界特性に応じて、発生可能性の高い災害を想定し、BCPを策定することが現実的です。

社会的な信頼性を高める

災害時に製品や部品の供給を停止してしまうと、取引先からの信用を失う可能性があります。特に、サプライチェーンを構成する製造業では重要な要素です。自然災害という不可抗力で操業が不可能になることもありますが、BCPを策定し、災害時にも事業継続できる準備を整えていれば、その可能性を大きく減らすことができます。また、そのような対策・準備を実施していること自体が、取引先からの信頼につながります。

従業員の命や健康を守り、労働力を確保する

災害時に従業員の命や健康を守ることは、BCP対策の中でも特に重要視されています。災害時に事業が長期間停止してしまうと、従業員の雇用を維持することが困難になります。BCPにより事業継続の準備をしておけば、被災時の雇用確保が可能になり、従業員も安心して働けるようになります。さらに、BCPを念頭に、場所や時間に捉われないテレワーク制度の導入も検討しておくと、平時においても遠隔地勤務などの多様で柔軟な雇用形態が可能になり、安定した労働力の確保にもつながります。

BCP対策によるメリット

BCP対策の実施は、経営基盤の強化、自社の問題点を把握、社会貢献といったメリットがあります。それぞれの具体的なメリットを紹介します。

緊急時に対応できる経営体制を構築・組織体制を強化できる

BCPを適切に策定している企業は、緊急事態発生時に迅速な復旧アクションが可能です。事業の継続および早期復旧が実現すれば、顧客離れを防ぎ、経営へのダメージを最小限に抑えられます。また、事前に自社のリスクポイントを把握できるため、想定外の事態が発生しても、柔軟かつ臨機応変な対応が取りやすくなります。

自社の強み・弱みを可視化できる

BCP策定では、優先して継続すべき事業や業務を可視化します。また、組織体制や業務フローにおいて、緊急事態発生時のリスクポイントも明らかにする必要があります。そのため、BCP策定の過程で、自社の優先すべき中核事業や補強すべきポイントが明確になり、平常時からビジネスの優先順位付けがしやすくなります。これは、経営資源の投入やリソース配分の判断など、中長期的な経営戦略の立案にも役立ちます。

社会からの信頼獲得、地域貢献につながる

非常時における事業の継続や早期復旧が可能な体制を構築しておくことは、取引先からの信頼につながり、企業の価値を向上させる効果も期待できます。BCP対策を徹底することで、従業員などの人命の安全確保や被災者の支援活動をスムーズに行うことができます。
また、地域の雇用確保や地域経済の維持にもつながります。地域における社会的責任を果たすことにもなり、従業員をはじめ、取引先や地域社会などのステークホルダーからの信頼を得ることができるでしょう。

BCP策定手順について

実際にBCPを策定するときは、具体的な対応策に基づいて考えるとよいでしょう。ここでは4つのステップを紹介し、各々のステップにおけるポイントも解説します。

BCP対策を実施する目的を明確に

BCP策定の第一歩は、企業や団体の経営理念や基本方針を振り返り、原点に立ち返って目的を設定することです。従業員の人命を守るため、供給責任を果たしクライアントからの信用を守るためなど、経営者の念頭にある基本方針を確認します。この目的設定は、BCPの方向性を決定づける重要なプロセスであり、経営者が自社の事業継続に向けた方針を定めることが求められます。

重要業務とリスクの把握

続いて、企業や団体にとって最も優先すべき業務(中核事業)を明らかにします。災害時に限られたリソースでも継続すべき事業を特定するため、売上規模、納期遅延による損害の大きさ、市場評価や信頼維持への影響などの観点から検討します。また、地震・台風・火災などの災害、事件・事故、伝染病の流行、システム障害やサイバー攻撃など、想定されるリスクをすべて洗い出す作業も重要です。

業務とリスクの優先順位をつける

洗い出したすべてのリスクに対処するのは現実的ではないため、優先順位をつける必要があります。リスクの発生頻度と深刻度を軸に、総合的に判断します。発生頻度は、月に1回、年に数回、数年に1回などの頻度を想定し、深刻度は実際に起きた場合の損失規模を評価します。この優先順位付けにより、限られたリソースを効果的に投入するための指針が得られます。また、事業影響度分析(BIA)とリスク分析を繰り返し行うことで、より精度の高い優先順位付けが可能になります。

リスクへの具体的な対応策、実現可能な具体策を検討

最後のステップでは、誰が指揮を執り、誰がどのように行動するのかを具体的に決定します。災害発生から平常時に戻るまでのタイムスパンを大きく3段階に分け、「人的安全」「施設・設備、事業資源」「資金調達」「組織体制・指示系統」「重要情報」の5つの視点で詳細な内容を策定します。緊急時に迅速かつ的確な対応ができるよう、実現可能な具体策を練ることが重要です。また、初動対応のフェーズと中核事業継続のフェーズ、災害復興のフェーズに分けて、実施事項を整理することも必要です。策定した計画は文書化し、全社で共有できるようにします。

近藤商会ではお客様の事業継続を強力にサポートさせていただくため、BCP策定コンサルティングサービスをご用意しております。サービスの詳細はこちらをご覧ください。

まとめBCPを実施して事業継続へ万全の対策を!

企業にとってBCP対策は、自然災害やパンデミックなど予測のできない事態に左右されない、安定した事業継続を目指すためのものであり、従業員の安全と健康を守り、社会的な信用を維持するものです。企業の抱えるリスクは多岐に渡るため、自社の事業に即した計画を策定しましょう。

近藤商会では、お客様の状況に合わせて、BCP策定支援を行っています。まずはお気軽にお問い合わせフォームからご相談ください。

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