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2024.06.10 DXによる働き方改革を実現するためには?具体的な導入事例と進め方を解説

DXによる働き方改革を実現するためには?具体的な導入事例と進め方を解説

近年よく耳にするDX(デジタルトランスフォーメーション)と働き方改革。両者は企業の持続的な成長と競争力強化を目指すための戦略的取り組みとして位置付けられます。

DXの推進は、働き方自体の変化につながります。デジタル技術の導入によって場所や時間にとらわれない柔軟な働き方が可能となり、従業員はより効率的に働くことができます。これにより、働き方改革の推進が促進され、ワークライフバランスの向上や従業員の働きがいとモチベーションの向上が期待されます。

今回は、DXと働き方改革の基本的な解説から、DXによる働き方改革の具体的な事例など自社での進め方について解説します。

そもそもDX・働き方改革とは?

まずは、「DX」と「働き方改革」の意味をしっかり理解しましょう。

言葉の定義から、具体的にはどのようなことが「DX」「働き方改革」にあたるのか、両者の関係性を知ることで、DXによる働き方改革実現へのモチベーションにもつながるはずです。

DXとは?

「DX」とは、デジタル技術を使って生産性を高め、業務効率の改善ができるように今までの業務プロセスや製品、サービスを根本から見直して変革すること、それにより競争優位性を高めることを指します。

例えば、製造工場の品質検査工程にAIの画像解析技術を取り入れて、検査速度と精度を向上させる取り組みや、従来アナログで行っていた受発注業務をシステム化することにより、商品の動きが明確になり余剰在庫を抱えるリスクを減らす取り組みなどが挙げられます。デジタル技術の導入により、業務フローを見直したり、業務の効率化や生産性向上、新サービスの開発につなげることができます。

働き方改革とは?

一方、「働き方改革」とは、従業員の働き方をより柔軟で多様にすることで、働きがいのある環境を実現し、ワークライフバランスの向上を目指す取り組みです。2019年4月より「働き方改革関連法」が順次施行されており、具体的には以下のような内容が含まれます。

  • 時間外労働の上限規制の導入
  • 勤務時間インターバル制度の導入促進
  • 年5日の年次有給休暇の取得
  • 月60時間超の残業の割増賃金率引き上げ
  • 労働時間の適正な把握
  • 産業医・産業保健機能の強化

働き方改革の詳しい解説は、こちらの記事もご覧ください。

「働き方改革」は従業員満足度をアップさせる鍵

従業員の労働環境を守るための法改正が進む一方で、少子高齢化に伴う労働力不足が深刻な問題となっています。企業が限られた人材で効率的に業務を行うためには、DXによる働き方改革の実施が不可欠です。

例えば、デジタル機器を取り入れることにより、アナログだった作業を自動化したり、業務フローの効率化を実現するとともに、時間的・精神的余裕が生まれて業務の生産性の向上が期待できます。そして、従業員の残業時間が減ることでワークライフバランスが整いやすく、従業員満足度アップが期待できるでしょう。

DXによる働き方改革の具体的な事例

言葉の意味をつかめたところで、ここからは実際のDX導入により働き方改革に成功した社外の事例を見ていきましょう。

一見するとハードルが高く感じるDXですが、日常の不便さに対する気づきであったり、「こうしたら効率的なのに」といった身近な改善要望から行動に移してみるとよいでしょう。

AIによるリアルタイム議事録作成で作業時間4割削減

青森県では、業務の効率化と省力化の観点でAIリアルタイム議事録の運用を2020年度から本格的に始めました。音声データからテキストデータに変換されるもので、変換精度も高く、作業時間がこれまでの4割削減できました。今後は、議事録作成以外にも県民の幅広いサービスへの展開が見込まれています。

RPA(自動化ツール)を活用し、生産性がアップ

総合物流事業の業界最大手の日本通運では、2018年からRPAを導入しました。RPAとは、ロボティック・プロセス・オートメーションの略称です。定型的な業務プロセスを自動化して、人間に代わって操作します。導入により生産性がアップし、2021年度末までに定型業務にかかる作業時間が年間72万8721時間削減できました。

会計業務や勤怠管理をクラウド化、テレワークへもスムーズに対応

事例3つめは、近藤商会でDX導入支援を行った学校法人函館大谷学園。教育関連事業を幅広く展開する函館大谷学園では、事業所内に設置されたサーバーを整備し、クラウドシステムを導入。特定のパソコンでしか行えなかった会計業務や勤怠管理がクラウド化され、テレワークも可能に。インフラの整備を通じて、効率的に業務を行えるようになりました。またシステム導入に合わせて、事務職員や管理者に向けてセミナーを実施し、情報セキュリティにおけるリスクの周知・学習の機会を設けました。

函館大谷学園のDX事例紹介ついては、こちらの記事でも解説しています。

働き方改革を実現するためのDX推進の課題と解決策

働き方改革実現に向けたDX推進を行うに際しては、乗り越えないといけない課題がいくつかあります。

デジタルリテラシーの必要性や業務プロセスの見直しなどの課題に対して、どのような解決策を打てば乗り越えられるのかも合わせて確認しましょう。

DX推進に伴う課題

DX人材が不足している

日本でDX推進が難しい大きな原因として、DXに精通している人材が限られていることが挙げられます。日本企業では社内システムを運用できる人材が限られており、専門的知識を持った人材が不足しています。システムの運用を外部に委託していることも多く、社内に必要な知識や技術を持つIT人材がいないケースもあります。DXを推進するためには、IT人材の育成・確保と、人材への投資が必要不可欠です。

経営戦略が明確でない

企業全体として「DXで何を実現させるか、どのように実現させるのか」という経営戦略が明確でない状態でデジタルツールを導入してDXの推進を図ってもDXの実現は難しいでしょう。明確な経営戦略がなければ、具体的な方向性などを示すことができず、本来行いたい理想のDXの実現とかけ離れてしまう可能性があります。

セキュリティ対策に不安がある

DXを推進するには、ITツールの導入や、データの利活用が必要となります。セキュリティ対策が甘く情報漏洩を起こすと、企業の信頼が失われてしまう可能性があるため注意が必要です。システムやデータを適切に保護するセキュリティ対策は欠かせません。

コスト負担が増加している

IT人材、システムへの投資など、DX推進には一定のコストがかかります。計画的に導入していく必要があるでしょう。

以上のように、さまざまな観点から自社の状況に合わせて計画立案することが重要です。こうした課題をいかに解決していくかが、DXによる働き方改革を成功に導けるかのポイントになります。

DX推進に伴う課題への解決策

DX推進に伴う解決策には次のようなものがあります。

DX人材の育成・確保

DXはビジネスモデルや事業そのものの変革を伴う取り組みです。そのため、戦略策定や問題解決ができる能力、プロジェクトチームをまとめるリーダーシップ、社内外の人と円滑にやり取りを行うコミュニケーションスキル、周囲を巻き込む力など、さまざまな資質が求められます。

DXに必要な人材が不足している現状においては、社内にノウハウを蓄えるためにも社内人材の育成が望まれます。人材候補は幅広い層から選ぶことが重要ですが、既存システムを運用していた社員をそのままスキルシフトさせることで、スムーズなデジタル教育も可能でしょう。

また、必要に応じて社外の人材を招き、さらなるブラッシュアップを図りましょう。

DXで実現したいことの明確化

DXを推進していくためには、DXを利用してどのようなビジネスを行うのか、経営層が明確にビジョンを描いて社員に向けて発信することが大切です。
それだけでは具体的な行動に結び付きにくいため、実現にあたっての具体的な行動指針を経営層から社員に対して、トップダウンで示すことが必要になってきます。また、その後も社員に任せっぱなしにしてしまうのではなく、経営層から企業が目指す姿、DXに取り組まなければいけない理由について積極的に発信し、変革に対する目的意識が浸透するまで支援することが求められます。

セキュリティ対策の専門家育成・外部委託

セキュリティ対策専門の従業員を社内育成する研修を実施します。外部のセキュリティ専門の事業者に監査を依頼し、定期的に社内状況を把握していきましょう。

DXへの投資計画の策定

DX推進には、中長期的な計画投資が不可欠です。業務効率化が見込まれる分野から優先的に着手していきましょう。DX推進に伴う課題へは自社にとって無理のないところから始めることが大切です。多角的な視点で対応し、解決に向けて動き始めましょう。

DXによる働き方改革の進め方

DXによる働き方改革には、段階を踏んだ計画的なステップが必要です。

まずは、現状の業務プロセスを可視化し、デジタル化による最大のメリットが見込める業務から優先的に着手します。そのうえでプロセス改善のロードマップを策定しましょう。

一部の部門や業務からデジタルツールやDXの試験的な導入を行い、効果を確認しながら、徐々に本格展開を検討していきます。大規模システムの導入前に、クラウドサービスやサブスクリプション型のツールを活用することで、初期コストを抑えられます。

合わせて、デジタル人材の計画的な育成・確保にも注力していきましょう。e-ラーニングや外部研修を活用してデジタル化に対応できる人材へと育てていく必要があります。

DX推進をバックサポートする事業者選定5つのポイント

さらに、DXを円滑に進めるため、必要に応じて以下の5点を意識してバックサポートする事業者を選びましょう。

  • 自社のニーズや課題にあったサービスを提供しているか
  • 他の企業にも導入実績があり、十分なサポート体制が整備されているか
  • 初期費用と運用費用がどれくらいかかるか
  • セキュリティ対策に関してのサポートは十分にあるか
  • 中長期的なパートナーシップが期待できるか

このように段階を踏み、戦略的にDXを導入していくことで、働き方改革を着実に実現できます。

まとめ|デジタル技術の導入とDX推進で働き方改革の実現を

DX推進と働き方改革は、中小企業が取り組まなければならない重要な課題であり、従業員の満足度向上に大いに資する鍵でもあります。

デジタル技術の導入やデジタル教育の強化、セキュリティに対する教育など、実現には一定の課題が伴います。しかしながら、段階を踏みながらDX推進を進め、バックサポートが必要なときには専門会社に相談するなど働き方を改善していく視点を持ち合わせていれば、企業の生産性と競争力は高められるでしょう。

近藤商会では、お客様の状況に合わせて、DX推進のご支援をいたします。まずはお気軽にお問い合わせフォームからご相談ください。

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